トピックス 音楽性は人間性。フルート奏者・松岡千聖さんの、演奏に向き合う真摯な姿勢と誠実さ

音楽性は人間性。フルート奏者・松岡千聖さんの、演奏に向き合う真摯な姿勢と誠実さ

2025/06/28
松岡さん記事サムネイル

フルートといえば、音楽や楽器にあまり詳しくない人でも、一度は目にしたり耳にしたことがあるのではないでしょうか。

フルートの澄んだ音色は、クラシックだけでなくアニメやドラマ、CMなどさまざまなシーンで活躍します。

そんなフルートを通して、多くの人の心に寄り添う音楽を届けているのが、フルート奏者・松岡千聖さん。
プロの吹奏楽団での本格的な演奏から子ども向けコンサート、部活動の指導まで幅広く活動されています。

今回は、そんな松岡さんにフルートの魅力や、ご自身の音楽と向き合う姿勢について、たっぷりとうかがいました。

■松岡 千聖(フルート奏者)
大阪教育大学 大学院教育学研究科芸術文化専攻音楽研究コース修了。 第37回霧島国際音楽祭賞受賞、第21回長江杯国際音楽コンクール管楽器部門第1位。 現在、フィルハーモニック・ウインズ大阪のフルート奏者として演奏活動をするほか、後進の指導、お子様向けのリトミックコンサートの企画・運営、ケアホームなどでの依頼演奏を精力的に行う。

■聞き手:福島 未貴
フリーランスのライター・トロンボーン奏者。武蔵野音楽大学を卒業後、現在は記事執筆の傍ら演奏活動や音楽レッスンの仕事にも携わっている。音楽を専門的に学び活動している演奏家ならではの視点から、音楽・演奏にまつわる情報や、演奏家の想いをお届け。

プロの吹奏楽団から自主企画のリトミックコンサートまで!幅広い現場で活躍するフルート奏者

ーー 普段はどのようなシーンで演奏をされることが多いのでしょうか?

松岡さん:
現在はプロの吹奏楽団である「フィルハーモニック・ウインズ大阪(オオサカン)」のフルート奏者として演奏するのがメインのお仕事です。主に吹奏楽のコンサートに出演しています。

ここ1年くらいでは、大学院時代の同級生たちとリトミックのコンサート団体を立ち上げて、2ヶ月に1回くらいのペースでお子さま向けのコンサートも開催しています。

たとえば、春はテーマを「春爛漫」としてお花の曲や春の歌を演奏したり、「お出かけ」をテーマにして、となりのトトロの「さんぽ」を歌ったり。

今は大阪の北部である茨木市で演奏することが多いですが、少しずつ活動エリアを広げていきたいと思っています。

フィルハーモニック・ウインズ大阪(オオサカン)

松岡さん:
演奏のほかには、レッスンのお仕事もさせていただいていますね。
中学校や高校の吹奏楽部へレッスンにいったり、個人レッスンで生徒さんに教えたりもしています。

実は、出産を機にお仕事をお休みしようと思っていた時期もあったのですが、生徒さんの大事なコンクールの時期が、ちょうど出産後のタイミングと重なって。

レッスンの仕事をきっかけに産後すぐに仕事へ復帰、オオサカンの定期演奏会へも産後3か月で復帰し、定期演奏会にも出演を再開しました。

もちろん体力的にしんどいな、と感じたこともありましたが「意外と自分は休みなくやるのも合っているのかも?」と思いましたね。

ハープとともに演奏する松岡さん


先輩の音色に憧れて。バンド全体を彩るフルートの音色に魅せられた学生時代

ーー フルートはピアノやヴァイオリンと並ぶメジャーな楽器ですが、松岡さんは幼少期からフルートを習っていらっしゃったのですか?


松岡さん:
フルートを始めたきっかけは、中学校に入学したときに吹奏楽部に入ったことです。

実は最初はフルートではなく、トランペットがやりたかったんですよ。
でも、実際に体験で吹いてみると「自分、トランペットはあんまり向いていないかも……?」と思って。

体験入部の期間にいろいろな楽器を吹かせてもらったのですが、そのときにフルートがすごく上手な先輩がいたんです。
その音を聴いて「フルート、いいなあ」と思って、すぐにトランペットからフルートに気持ちが変わりましたね。

とはいえ、フルートも人気のある楽器なので、競争率も高かったんです。
最終的にはあみだくじで、無事にフルート担当の座を勝ち取りました!

学生時代の松岡さん

松岡さん:
吹奏楽のなかでは、フルートは一番高い音を担当する楽器です。

フルートが華やかだとバンド全体が華やかになるし、逆にフルートが暗いとバンド全体の印象も沈み気味になります。

音量ではなく音色でバンド全体のイメージを左右するのが、フルートの面白いところだな、と感じます。

フルート奏者・松岡千聖さん


「上品できれい」だけじゃない!式典からジャズや演歌まで、多くのシーンにマッチするフルートの音色

ーー フルートといえば多くの人にとって親しみのある花形楽器だと思います。そんなフルートが特にマッチするのはどんなシーンでしょうか?


松岡さん:
場を盛り上げて賑やかさを出すにはサックスやトランペットのほうが合っているかと思いますが、「華やかさ」を演出するシーンにはフルートがぴったりだと思いますね。たとえば、式典や結婚式などでしょうか。

フルートはクラシック音楽のなかでもメロディ担当として活躍する楽器なので、少しかしこまったシーンでの演奏にも適しているのかな、と思います。

フィルハーモニック・ウインズ大阪(オオサカン)

松岡さん:
お子さま向けのコンサートにも、フルートは向いていると思います。

フルートはテレビや動画などに登場する機会も多く、子どもたちにとってもピアノと並んで「よく知っている楽器」のひとつなんですよね。
そのため、子どもたちも親しみやすく、喜んでもらえることが多いです。

フルートは高音がきれいなイメージが強いですが、低音は意外と渋かったり、「優雅で上品」以外の一面も持っていたりするので、そんな部分も知ってもらえると嬉しいですね。

ビブラートやこぶしを表現しやすいので、実はジャズや演歌にも合うんですよ。

リトミックコンサートで演奏する松岡千聖さん

「あなたの演奏が聴きたくて」。公演後に、お客さまと交わした会話

ーー 日頃から吹奏楽団やリトミックコンサートなど、さまざまなジャンルでご活躍されていますが、特に印象に残っているのはどんなシーンでしょうか?


松岡さん:
一番インパクトがあったのは、所属しているフィルハーモニック・ウインズ大阪の公演で、アメリカのシカゴで演奏したことです!

それまでにも旅行で海外に行ったことはありましたが、楽器を持ってお仕事で行くのは初めてでした。お客さまも約2,500名と大規模で「こんな経験、人生で一度きりかもしれない!」と思いましたね。

海外と日本で演奏する大きな違いは、お客さまの反応がダイレクトに分かることでした。

「よかった」と思ってもらえたときには、ドラマや映画でよく見るようなスタンディングオベーションが、本当に起こるんですよ!

自分たちの演奏に満足いただけているかどうかが見てすぐ分かるというのは、面白くもあり少し怖くもあり……本当に貴重な経験でしたね。

オオサカンのシカゴ公演でのオフショット

松岡さん:
「お客さまの反応」については、もうひとつ思い出深いエピソードがあります。

日本でのオオサカンのコンサートのあとに「松岡さんの演奏が聴きたくて来ました」といってくださったお客さまがいらして、それがすごく嬉しかったですね。

プロの楽団の演奏会では奏者とお客さまが接する機会はあまりなく、直接の知り合いの方や生徒さんであれば、楽屋でお会いするケースが多いです。

ですが、オオサカンは過去には奏者がロビーへ出てお客さまをお見送りしていたこともあり、その際に感想をいただくことがありました。

直にお客さまの感想を聞けるのは、やっぱりすごく嬉しいですね。


人間性は、音に出る。よい音楽を届けるために、磨き続ける人間性。

ーー とてもアグレッシブに活動をされている松岡さんですが、いつも演奏をするうえで心がけていることや、大切にしていることはありますか?

松岡さん:
「音楽性は人間性」という言葉を、いつも胸に留めています。
自分自身の軸でありながら、生徒さんたちにも必ず伝えるようにしていますね。

これまでに自分が「好きだな」と思う演奏家さんは、お人柄もすごく素敵な人ばかりでした。

やっぱり、自分勝手なところがあると、それは必ず音にも出てきてしまうと思うんです。

たとえば、時間を守れない人は一緒に演奏していても息が合いづらかったり、自己主張が強すぎるとハーモニーの中に上手く溶け込めなかったり。

こういったことも、吹奏楽をとおして学んできましたね。これからも、音楽の技術はもちろん人間性も磨き続けていきたいと思っています。


誠実な人柄で、まっすぐに音楽と向き合い続ける

プロの吹奏楽団での演奏をはじめ、子ども向けのコンサートやレッスンまで、幅広い場面で活躍している松岡さん。たくさんの現場で活躍するなかで大切にしているのは、「音楽性は人間性」というひとつの信念でした。

人として誠実であること、思いやりを持つことが、自然と音にも表れていく。
そんな姿勢で、音楽と真摯に向き合い続けています。

フルートの演奏はもちろんのこと、松岡さんの温かくも芯の通ったお人柄に惹かれる人も多いことでしょう。
そんな松岡さんに演奏依頼をしてみたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。

<松岡千聖さんプロフィール>

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