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幻想的で、ちょっと特別な印象のある楽器「ハープ」。
絵画や写真などで楽器の風貌は知っているけれど、生では見たことも聴いたこともない。そんな人も多いのではないでしょうか?
今回ご紹介するのは、アイリッシュハープで弾き歌いやBGM演奏、さらに体験型の演奏まで幅広く活動するくららさん。
クラシック音楽や歌謡曲、アニメソングまで多彩なレパートリーで、シーンに合わせた演奏を届けています。
今回は、くららさんの演奏スタイルや選曲の工夫、ハープの演奏体験など、これまでの演奏の事例とその工夫を聞いてみました。
■くらら(ハープ奏者・声楽家)
オーストリア国立グラーツ音楽・演劇大学卒業後、ドイツやイタリアでも研鑽を積む。万里の長城杯国際音楽コンクール、アジア国際音楽オーディションなどで入賞。声楽・合唱・ボーカルやハープの指導も行い、あおい音楽コンクールで指導者賞を受賞。2022年に音楽健康指導士準2級を取得し、2023年にはおとつぶハープガイド講習を受講。クラシックやポップス、民族音楽、ヨーデルまで幅広いレパートリーを持ち、ソロや弾き語り、アンサンブルで演奏活動を行うほか、楽譜のオンライン販売や体験型コンサートも開催している。
■聞き手:福島 未貴
フリーランスのライター・トロンボーン奏者。武蔵野音楽大学を卒業後、現在は記事執筆の傍ら演奏活動や音楽レッスンの仕事にも携わっている。音楽を専門的に学び活動している演奏家ならではの視点から、音楽・演奏にまつわる情報や、演奏家の想いをお届け。
弾き歌いにBGM、出張演奏も!幅広い現場で活躍するハープ奏者
ーー 改めて、現在の音楽活動について教えてください!普段はどのようなシーンで活動されているのでしょうか?
くららさん:
ハープのなかでも、私はアイルランド発祥の「アイリッシュハープ」という楽器を演奏しています。
ひとりでハープを弾きながら歌うこともあれば、ほかの演奏家さんとデュオなどのアンサンブルで演奏することもありますね。
演奏シーンはさまざまで、コンサートやイベント出演、高齢者施設・幼稚園などへの出張演奏や、飲食店でのBGM演奏もおこなっています。
ーー ピアノやギターの弾き語りはよく聞きますが、ハープの弾き歌いは珍しいですね。もともとハープを専門にされていたのでしょうか?
くららさん:
いえ、もともとは私は声楽家なんです。音楽大学では、声楽を専攻していました。
ですが、子どものころからハープに強い憧れがあって「ハープを弾きながら歌ってみたい」とずっと思っていたんです。
声楽家として歌を歌うなかで「もっと気軽に歌を聴いてもらえる方法はないか」と考えて、ハープの弾き歌いにたどり着きました。
「天使の楽器」「女神様が弾いている」といったイメージが強いハープは、「聴いてみたい」と思ってくださる方も多いのではないかと思ったんです。
ハープの先生について勉強し、もう10年ほどこのスタイルで演奏しています。
その場に合わせて、瞬時に選曲。自然と耳を傾けたくなるBGM演奏の工夫
ーー 飲食店やホテルのロビーなどでハープの音色がBGMで流れていると、すごく癒やされそうです。BGM演奏の際には、どんな曲を演奏するのですか?
くららさん:
BGM演奏の際は、自分のレパートリー曲を持っていって、具体的な選曲はその場でお客さまの様子を見ながら決めることが多いですね。
もちろん、どんなお客さまが多いかなど事前確認はおこなうのですが、飲食店でのBGM演奏は通常のコンサートとは違って、日によってお客さまの層も異なります。
たとえばお子さんが多くいらっしゃるときには、ジブリ音楽やアニメソングを増やしてみるなど、臨機応変に対応しています。
ーー その場で選曲!それはすごいですね!
くららさん:
BGM演奏の場合、お客さまも音楽に一点集中しているわけではありません。でも、お食事やおしゃべりを楽しみながらも、自然に音楽が耳に届きます。
お客さまの様子をうかがいながら「あ、この曲はよく耳を傾けてくれているな」と感じたら繰り返しを増やして長めに弾いたりもしていますね。
レパートリーは常にたくさん持っておくようにしていて、クラシック音楽から歌謡曲、民族音楽、お子さん向けの曲など幅広く用意しています。
初心者でも音が出せる喜びを!空気の振動まで楽しめるハープ体験
ーー ハープといえば、膝に乗るくらいの小さなものも見たことがあります。くららさんも、そのような小型のハープも演奏されるのですか?
くららさん:
そうですね。ハープにもいくつか種類やサイズがあるのですが、1番小さいサイズのハープは私が弾くだけでなく、演奏体験に使うことも多いです。
ハープの音色には人間の耳には聞こえない周波数が含まれていて、聴いているだけでもリラックスできます。個人的には、聴くだけでなく実際に弾いてみるとさらにリラクゼーションを体験できると、思っています。
膝にハープを乗せてポロンポロンと音を鳴らすと、身体に心地よい振動が伝わるんです。

ーー ハープを実際に弾かせてもらえるなんて、貴重な体験ですね!でも、難しくないですか?
くららさん:
曲を弾くには練習が必要ですが、音を鳴らすだけならとても簡単です。
弦を指で弾くだけで、誰でも美しい音色を鳴らせるので、たとえ曲を弾けなくても満足感が得られると思います。
ハープの弦を指でなぞるとジャラーンときらびやかに響くので、とても喜んでいただけますね。
指の面積で音が変わるので、たとえばお友だち同士や親子で体験してみると、男性と女性、大人と子どもで音色が違うのも、面白いポイントです。
その場に寄り添う選曲と、「ハープを弾けた」という特別な体験をあなたに
くららさんの演奏には、その場の雰囲気や聴き手のニーズに寄り添おうとする、温かな心配りがあふれていました。
BGM演奏ではその場のお客さまに合わせて曲を変えたり、演奏体験では音の響きを共有したり。ただ演奏を披露するだけでなく「その場が心地よくなる音楽」を丁寧に編み出しています。
「イベントにふさわしい曲を相談しながら決めたい」
「ハープの癒やしの音を、もっと身近に感じてみたい」
そんな方は、ぜひくららさんのハープ演奏を取り入れてみませんか?
<くららさんプロフィール>