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クラシックの世界にとどまらず、音楽ジャンルの垣根を越えて、さまざまなシーンで音楽を届けるヴァイオリニスト・中野夏実さん。
幼稚園や高齢者施設での演奏会から、テレビ出演や音楽番組の収録、さらにはミュージックビデオへの出演まで、活躍の場は実に多彩です。
今回は、そんな中野さんに「音楽を届けるうえでの工夫」を聞いてみました。
人前で弾くときに気をつけていることや、プログラム構成の、そして“伝わる表情”の秘密まで、さまざまなシーンで活躍する中野さんだからこそ語れる演奏の裏話をお届けします。
■中野 夏実(ヴァイオリン奏者)
埼玉県出身。武蔵野音楽大学ヴァイオリン専攻首席卒業。オーケストラ共演やTV出演のほか、元ベルリンフィル首席奏者とも共演。演奏活動と後進指導に励んでいる。
■聞き手:福島 未貴
フリーランスのライター・トロンボーン奏者。武蔵野音楽大学を卒業後、現在は記事執筆の傍ら演奏活動や音楽レッスンの仕事にも携わっている。音楽を専門的に学び活動している演奏家ならではの視点から、音楽・演奏にまつわる情報や、演奏家の想いをお届け。
演奏シーンもジャンルも関係ない!求められる場所で演奏できる喜び
ーー 改めて、これまでにどんなシーンでヴァイオリンを演奏されてきたのかお聞かせください!
中野さん:
フリーランスのヴァイオリニストとして活動しており、演奏シーンや楽曲のジャンル問わず、本当にさまざまなところで演奏してきました。
幼稚園や高齢者施設でのコンサートはもちろん、企業のパーティーで弾いたり、音楽バーでも演奏したり……。
楽曲のジャンルもそのときによりけりで、クラシックを弾くこともあれば、JPOPやJazzを演奏することもあります。
ーー LiveDeliのHPに掲載のプロフィールによると、テレビなどのお仕事もされているとか……?
中野さん:
そうなんです。
テレビ番組の音源収録に参加したり、ドラマに出演する俳優さんへ演奏演技指導をさせていただいたこともあります。
あとは、JPOPアーティストのミュージックビデオにヴァイオリニストとして出演させていただいたり。そのときは海をバックに砂浜で撮影したのですが「自分の数センチ後ろにはもう波が!」といった特殊な環境で弾かせていただいて、すごく思い出に残ってます。
プロとして活動を始めたときから「なんでも演奏できるヴァイオリニストでありたい」という想いがあるので、これからもお客さまに求められている場所で、ジャンルやシーン問わず演奏の場をどんどん広げていきたいと思っています!
より“伝わる”演奏を目指して。曲のアレンジからMCまで、隅々まで工夫を凝らしたコンサートづくり
ーー クラシックコンサートから芸能関連まで多彩に活躍されていますが、コンサートの設計や演奏においては、どんなことを意識されていますか?
中野さん:
いろいろあるのですが、曲によって弾き方を変えることと、お客さま層に合わせたプログラムの設計は、特に意識しています。
もともと私は音楽大学でクラシックを専門に勉強してきて、JPOPやJazzの弾き方もその後自分なりに勉強・研究をしてきました。
たとえばJPOPを弾く場合は、ただ歌詞をなぞるだけでは面白くないので、少しメロディックに弾いてみたり、アドリブを入れてみたり。
実際の歌詞では細かい言葉があって音符も細かく分かれているけど、あえてあまり分けずに弾いてみたり、リズムを強調する箇所を作ったり……。
「ヴァイオリンでカバーするなら、このほうが聴き映えするかな?」と、いつも考えながらアレンジして弾いています。

ーー なるほど!楽譜のとおりに弾くだけではないのですね。プログラム設計のお話も、ぜひ聞かせてください。
中野さん:
コンサートを開催するにあたって、演奏だけでなくMCもより入念に準備するようにしています。
あまり早口だと聞き取りづらいので、ゆっくりめに話したり、少し楽器や楽曲の豆知識などを入れるようにしていますね。
保育園や幼稚園などでのコンサートでも、やはり話し方は気をつけています。
小さなお子さんでも理解できるようゆっくりめに話したり、楽しい雰囲気が出るように声のトーンを少し高めにしたりとか。
子どもたちはとにかく元気なので、パワーに負けないようにこちらも元気いっぱい笑顔で演奏したり、楽譜ではなく児童たちの顔を見ながら弾いたりするように心がけています。
みんなが最後まで飽きずに楽しめるよう、「世界旅行」や「動物の音楽」などテーマを決めてプログラムを組むこともありますね。
弾いているときの表情も、演奏の一部。「ムスッとして見えるかも…?」から始まった、表情へのこだわり
ーー 中野さんの演奏動画を拝見していると、いつも笑顔で演奏されているのがとても印象的でした!表情も意識して弾いているのでしょうか?
中野さん:
そうですね、表情はかなり意識しているかもしれません。
というのも、音大を出てすぐの頃、自分の演奏シーンを客観的に見るために動画撮影をしてみたら、表情が気になったんですよね。集中して真剣に弾いているのですが、ちょっとムスッとして見えるというか。
それから、演奏中の表情や雰囲気についても、深く考えるようになりました。

ーー たしかに、客観的に見て初めて気がつくことも多そうです。
中野さん:
もちろん、真剣な表情のほうがしっくりくるシチュエーションもあります。
規模の大きいクラシックコンサートや、高い技術を見せ場とする曲の場合は、集中している表情のほうがカッコいいですよね。
でも、クラシック音楽にあまり馴染みがなかったり、ヴァイオリンの音を生で聴くのが初めてだったりするお客さまの場合は、少しでも親しみやすいほうがいいかな?と思っていて。
音だけでなく、目でも楽しんでもらえていると嬉しいです。
表情やコンサート全体の雰囲気も、そのときのお客さまに合わせて演じ分けることが大事だと思っています。
場所もジャンルも自由自在。その場所に、その人に、ぴったりの音楽を
幼稚園での演奏では子どもたちの目を見ながら、施設での演奏ではゆっくりと丁寧に。
どんな場面でも、そのときのお客さまに合わせて演奏スタイルを柔軟に変化させていく中野さん。
どれも一見当たり前のようでいて、その裏にはこれまでの経験を活かした工夫と温かい心遣いが詰まっていました。
これからもジャンルを越えて、より多くの人に音楽の魅力を届けていく姿に目が離せません。
「ヴァイオリニスト・中野夏実さんと最高のイベント・コンサートを作りたい!」と感じてくれた人は、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。
<中野夏実さんプロフィール>