トピックス お客さまや場面に寄り添う、ぴったりな1曲を。参加型コンサートで“歌う楽しみ”を届けるソプラノ歌手・鈴木麻琴さん

お客さまや場面に寄り添う、ぴったりな1曲を。参加型コンサートで“歌う楽しみ”を届けるソプラノ歌手・鈴木麻琴さん

2025/05/31 Artist Interview
鈴木さん記事サムネイル

声楽のコンサートと聞くと、本格的なクラシック音楽のイメージが強く、どこか「ハードルが高い」と感じてしまう方もいるかもしれません。

しかし、実は誰もが知っている曲や、思わず一緒に口ずさみたくなるような楽曲が、プロの歌声で楽しめる……そんな親しみやすいステージもたくさんあるのです。

今回お話をうかがったのは、オペラ公演から幼稚園・高齢者施設まで、さまざまなシーンで活動するソプラノ歌手・鈴木麻琴さん。

お客さまに合わせた選曲や演出の工夫や心がけについて、じっくりとお話しいただきました。

■鈴木 麻琴(ソプラノ歌手)
京都市立芸術大学卒業。第6回豊中音楽コンクール第2位。2022年度平和堂財団芸術奨励賞(音楽部門)受賞。オペラでは、≪コジ・ファン・トゥッテ≫デスピーナ、≪ラ・ボエーム≫ムゼッタ、≪こうもり≫アデーレで出演。演奏グループ「toi to! toi」メンバー。

■聞き手:福島 未貴
フリーランスのライター・トロンボーン奏者。武蔵野音楽大学を卒業後、現在は記事執筆の傍ら演奏活動や音楽レッスンの仕事にも携わっている。音楽を専門的に学び活動している演奏家ならではの視点から、音楽・演奏にまつわる情報や、演奏家の想いをお届け。

オペラ劇場から高齢者施設まで。幅広いシーンに溶け込むソプラノの歌声

ーー オペラへの出演をはじめ幅広く活躍されていますが、普段はどのようなシーンで演奏をすることが多いのでしょうか?

鈴木さん:
オペラ劇場やコンサートホールなどでの本格的なクラシックコンサートはもちろん、もう少しお客さまとの身近に接せられる場所でも歌わせていただいています。

たとえば、レストランやイベント、高齢者施設や幼稚園とか。結婚式で歌わせていただくこともありますね。

合唱団とともに歌う鈴木さん
ライブ出演する鈴木さん

ーー とても幅広く活躍されているんですね!

鈴木さん:
ほかには、3人のソプラノ歌手とピアニストで結成した演奏グループ「toi toi toi」での活動もおこなっています。

メンバーはみんな大学の同級生なのでコミュニケーションが取りやすく、それが結果として息の合ったパフォーマンスに繋がっていますね。

このメンバーで、レストランで演奏したり、高齢者施設でのコンサートに出演させていただくことも多いです。

声楽アンサンブルのなかで歌う鈴木さん


「この曲、素敵!」を知るきっかけを作りたい。定番曲から本格クラシックまで含んだ、幅広い選曲

ーー 鈴木さんの演奏を聴きに来られるお客さまは、どのような方が多いですか?

鈴木さん:
普段はあまりクラシック音楽を聴かない方から、すごくクラシック音楽が好きで詳しい方まで、本当にさまざまですね。
そのため、お客さまのタイプに合わせてコンサートごとに選曲を変えるようにしています。

たとえば、クラシック音楽に詳しい人は、いわゆる「誰でも知っているクラシック」だけではちょっと物足りないですよね。そのため少し難しい曲や、私が「聴いてほしい」と思う曲を入れたりします。

対して、あまりクラシック音楽に馴染みがないお客さまが多いときには、やはり「みんなが知っている曲」を選んでいます。

歌詞もなるべく外国語ではなく、日本語の曲を選んだり。
日本語の歌詞だと、曲そのものをあまり知らなくても歌詞の意味がダイレクトに伝わるので、親しみを持ってもらいやすいです。



でも、クラシックの定番曲だけではなく、あえてあまりメジャーではない曲も混ぜるようにしているんです。

「この曲初めて聴いたけど好きだな」「こんな素敵な曲があったんだな」と新たに知ってもらえるきっかけになったら嬉しいな、と思って。そんな願いも込めて、選曲をしています。

舞台で歌う鈴木さん

ーー たしかに、鈴木さんの生の歌声をとおして新しい曲を知れたら、お客さまにとってもすごくよい思い出になりそうです。

鈴木さん:
あとは、ただ聴くだけでなく、お客さまが参加できる曲目を入れるようにもしています。
クラシック音楽だけでなく、最近流行っている曲や「思わずみんなが歌い出したくなる曲」を考えて選んでいますね。

個人的に、歌は声さえ出せれば誰でも奏でられる楽器のひとつだと思っていて。老若男女問わずみんなで一緒に歌えるというのが、歌の魅力ですよね。

特に小さいお子さまは、長時間静かに音楽を聴くだけのコンサートでは、集中力が続きにくいこともあります。
途中で一緒に手拍子をしたり踊ったりもしながら、メリハリのあるプログラムを心がけていますね。


生徒との対話がパフォーマンスのヒントに。ステージに生かす“教える視点”</h2>

ーー 鈴木さんは演奏だけでなく、講師としてレッスンのお仕事もされていますよね。レッスンでの経験が、パフォーマンスをするうえで生かされていることもあるのでしょうか?

鈴木さん:
はい、たくさんありますね!

私の生徒さんは、小学生から70代くらいの方まで年齢層もさまざまです。20代くらいの女性もいればクラシック音楽がお好きな50〜60代の方もいたり「自分で音楽を奏でたい!」という熱意にあふれている方のレッスンをさせていただいています。

そんな方たちにレッスンをさせていただいて、逆に私が教えられることもたくさんあるんです。

たとえば、ものごとの伝え方は、コンサートでMCをするうえでも役立っています。

同じ内容でも年代や性別など、人によって「どう伝えたら伝わるのか」を、すごく学ばせていただいていて。
面白く話したほうが分かりやすいのか、論理的にお伝えしたほうが分かりやすいのかは、人によって違いますよね。

笑顔でMCでをする鈴木さん

ーー たしかに、同じ内容でも大人と子どもでは、伝え方が変わってきそうですね!

鈴木さん:
また、レッスン中の会話が、コンサートのプログラムを組むうえでの情報収集にも生かされています。

コンサートでは、クラシック音楽以外にもみんなが歌える曲……たとえば「となりのトトロ」などのジブリ音楽や、最近流行っている曲なども少しずつ取り入れるようにしています。

特に子どもたちのあいだで流行っているものは、生徒さんからお聞きしたり周りにいるちびっこたちに教えてもらったり。
そのなかから、クラシック調にアレンジしても違和感がないものをプログラムに組み込んでいますね。

でも、なにより一番パフォーマンスに生かされているのは「生徒さんに伝えたことを自分も実行しよう」という緊張感かもしれません。
やはり生徒さんに指導をしている以上、自分がそれをできていないといけないと思うので。

そういった面でも、生徒の皆さんには日々感謝しています!


豊富な演奏・指導経験が支える、ハイクオリティかつ親しみの生演奏を

ソプラノ歌手・鈴木麻琴さんのお話からは「声楽って難しそう」というイメージをくつがえす、心の込もった工夫の数々が伝わってきました。

目の前のお客さまのことをよく考え、今この場に合ったプログラムを丁寧に届けていく。
その姿勢があるからこそ、どんな場所でも心に残る音楽の時間が生まれているのだと感じます。

「ちょっと特別な時間を贈りたい」「人の心に残る演奏をお願いしたい」

そんな方は、鈴木さんの歌声でコンサートやイベントを開催してみてはいかがでしょうか。
ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。



<鈴木麻琴さんプロフィール>

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