トピックス たった一音で世界を変える。篠笛奏者・Hikaruさんが届ける、非日常へ聴衆を誘う出張演奏

たった一音で世界を変える。篠笛奏者・Hikaruさんが届ける、非日常へ聴衆を誘う出張演奏

2025/11/26
Hikaruさん記事サムネイル

澄んだ音色と、どこか懐かしさを感じる響き。
篠笛は、和の情緒と人の感情をまっすぐに伝える力を持っています。

そんな篠笛で、高齢者施設や学校での出張演奏、ライブ出演を行っているHikaruさん。
高齢者施設や学校、観光イベントなど幅広い場で音楽を届ける一方で、「非日常の体験を届けたい」という思いを軸に、毎回のステージに緻密な工夫を凝らしています。

今回は、Hikaruさんが大切にしている演奏への信念や、篠笛ならではの魅力についてお話をうかがいました。

■Hikaru(篠笛奏者)
繊細な息遣いと情熱的な音色で心を揺さぶる篠笛奏者。情景や心の機微を映す音を大切にしながら、自由で新しい表現にも挑み、篠笛の可能性を広げ続けている。ソロのほか、和洋楽器を融合したバンド「音を紡ぐ」など多彩な編成で活動。篠笛・和太鼓の指導にも力を注ぎ、SNS総フォロワーは1.5万人超。2019年篠笛コンテスト、2022年横浜太鼓祭 浜の和太鼓コンテストでともに第1位を受賞。2023年和楽器LIVE「邂逅」開催、2024年LALALAにしきたミュージシャンコンテスト審査員特別賞・西宮市長賞を受賞。

■聞き手:福島 未貴
フリーランスのライター・トロンボーン奏者。武蔵野音楽大学を卒業後、現在は記事執筆の傍ら演奏活動や音楽レッスンの仕事にも携わっている。音楽を専門的に学び活動している演奏家ならではの視点から、音楽・演奏にまつわる情報や、演奏家の想いをお届け。

高齢者施設や教育現場まで幅広く活躍!SNS配信でも人気を集める篠笛奏者

ーー プロの篠笛奏者さんにお会いするのは初めてです……!Hikaruさんの活動内容について、詳しく教えてください。

Hikaruさん:
現在は、プロの篠笛奏者として演奏活動をおこなっています。

ひとくちに「篠笛」といっても、いくつか種類があります。
雅楽で用いられる伝統的な篠笛と、パフォーマンスとしての創作音楽をやるための現代寄りの篠笛があるのですが、僕が演奏しているのは後者ですね。

活動内容はさまざまで、高齢者施設へ出張演奏をさせていただいたり、小学校などで公演をおこなったり、自主企画でライブを開催したり。

篠笛を吹くHikaruさん

Hikaruさん:
実は、僕はもともとは和太鼓をやっていて和太鼓スクールの講師としても活動していたのですが、「もっと篠笛奏者としての活動を本格化していこう」と思い、昨年2024年に完全独立しました。

ライブや出張演奏だけでなく、SNSの発信にも力を入れています。

1年ほど前からInstagramには毎週演奏動画を投稿しており、今でもInstagram・TikTokで週3〜4日、演奏の生配信もおこなっています。
配信も最初は苦戦しましたが、今では毎回100名ほどのリスナーさんにご視聴いただいており、とても嬉しく思っています。


きっかけは高校の和太鼓部。断わりきれずに始めた和楽器が、人生の転機に。

ーー 「もともとは和太鼓奏者」とのことですが、どのようなきっかけで和楽器を始められたのですか?また、和楽器から篠笛へ転身された理由や経緯も気になります。

Hikaruさん:
高校の和太鼓部で、和太鼓と篠笛を同時に始めました。

それまでは、音楽や楽器はまったくやっていなかったんです。小学校ではサッカー、中学校では硬式テニスをやっていたので、高校でもテニスをやる予定でした。


高校に入学して間もないころ、放課後に担任の先生に「ちょっとおいで」って呼び出されたんです。
「僕、なにかマズイことしたかな……?」とドキドキしながら着いていったら、和太鼓部の見学に案内されたことが、すべての始まりでした。

僕を含め、3人の新入生が見学に参加したのですが、体験が終わったあとに「ひとりずつ感想を話してほしい」と顧問の先生に言われたんです。

僕以外のふたりが「入部します!」と話して先輩方もものすごく喜んでいて、これはもう僕も「入りません」なんて言えないな、と思いまして。(笑)

こんな言い方はよくないかもしれませんが、すごく「やりたい!」と思ったわけではなく、断れずに入部したという経緯でした。

篠笛を吹くHikaruさん

Hikaruさん:
こんなことを言うのは失礼かもしれませんが、正直、部活で和楽器に触れていた当時は「プロになりたい」という強い願望もなかったんです。

ですが、初めての演奏で高齢者施設を訪れ、利用者のおじいさん・おばあさんに手を握りながら「生きててよかった」と言っていただき、自分の演奏をこんなにも喜んでもらえることに感動を覚えて、演奏そのものがすごく楽しくなりました。

高校の先輩が卒業後に和太鼓講師をしていたこともあり「自分もその道でやってみようかな」と思ったのが、僕の音楽活動のはじまりでしたね。


和太鼓から篠笛奏者への転身を決めたのは、京都の篠笛奏者の演奏を聴いたことがきっかけでした。

「篠笛ってこんな素晴らしい音色が出せるんだ」と感動して、自分もそんな音が出せるようになりたいと思ったんです。

篠笛は、自然のもので楽器がつくられていることもあり、あたたかい音が魅力です。
あたたかいだけでなく、そのなかにも少し寂しさというか、哀愁漂う雰囲気があります。

個人的に、篠笛の音色は自分の感情をそのまま乗せることができると思っていて、さまざまなプロの篠笛奏者の演奏を聴いて、自分の表現の幅を広げられるよう日々研究しています。


ハレの日はもちろん、日常にも寄り添う篠笛の音色

ーー 篠笛の演奏を生で聴いたことがある人は、なかなかいないのではないかと思います。篠笛の音色を取り入れるのにおすすめなシーンを、ぜひ教えてください!

Hikaruさん:
お祝いのシーンに、篠笛をはじめとする和楽器はぴったりなのではないかと思います。

和楽器はお祭りのイメージも強いので、お祝いやセレモニーなどのいわゆる「ハレの日」に、その場を盛り上げる役割として依頼を受けることも多いです。

また、ここ最近では外国人観光客の方が多く訪れるイベントでも、よく演奏しています。

数ある和楽器のなかでも篠笛は音階があるので、メロディを演奏できるんですよね。ディズニー音楽やアニメソングを篠笛で演奏すると、海外のお客さまにもとても喜んでいただけます。

以前、映画「ワイルド・スピード」の主題歌を野外で演奏していたら、外国人観光客の方に声をかけていただいたこともありました!

篠笛を吹くHikaruさん

Hikaruさん:
ほかには、高齢者施設もおすすめですね。

実際にライブの際に何度かアンケートをとったことがあるのですが「篠笛の音を聴きたい」と言ってくださるのは、ご高齢の方が1番多かったんです。
「荒城の月」などの日本のうたや、美空ひばりさんなどの演歌・歌謡曲などをよく演奏しています。

篠笛ならではの選曲でいうと、1953年に放送されていたNHKラジオドラマ「笛吹童子」があり、その楽曲を篠笛で独奏すると、いつもとても喜んでいただけますね。

「生きる希望が湧いた」。演奏後にもらった言葉が、その後の活動の軸に

ーー これまでにさまざまなステージで演奏をされてきたと思います。特に印象に残っているエピソードや、お客さまからもらって嬉しかった言葉などはありますか?

Hikaru:
そうですね……僕は実はすごく涙もろくて、毎回コンサートでお客さまが涙を流してくれるたびに、自分も泣きそうになってしまうんです。(笑)

そんななかでも特に印象深いのが、演奏後にお客さまから届いたあるメッセージでした。

「ずっと辛い思いをしていたけれど、今日のHikaruさんの演奏を聴いて生きる希望が湧きました」

そんなふうに言ってもらえたことがすごく嬉しくて。

それ以来、コンサートやライブのMCの際には「もし普段しんどい思いをしていたとしても、この時間だけは非日常を味わって、生きる希望を持ってくれればと思って演奏しています」と、必ずお客さまに伝えるようにしています。


音楽に没頭できる、特別な空間を。何度聴いても新鮮さを味わえる、表現の工夫

ーー Hikaruさんの篠笛に対する熱意や、お客さまに向ける愛情がとても伝わってきました。最後に、Hikaruさんが演奏活動をするうえで大切にしていることを、改めて教えてください。

Hikaruさん:
やはり「非日常」という言葉をとにかく大切にしています。

たった一音だけで世界を作る。

僕の一音を聴いただけでも、違うことは考えられない、今この場で流れている音楽のことしか考えられない。そんな体験を、お客さまに提供したいと思っています。

ちょっとしんどいこと、やるせないこともある日常を忘れて、「いつも」とはまったく別の時間をつくる。
そして、その時間はお客さまにとっての癒やしの時間になればと思っています。

篠笛を吹くHikaruさん


優しさと哀愁が同居する篠笛の音色で、聴く人の感情にそっと寄り添う音楽体験を。

「しんどい日常から少しでも離れて、音楽を通して“非日常”を感じてほしい」

そう語るHikaruさんは、篠笛の繊細な音色ときめ細やかな表現によって、聴く人の感情を優しく揺さぶります。

篠笛がとにかく大好きで、その魅力を知ってほしい。
そして篠笛の音色で、お客さまを日常とは違う世界に連れていきたい。

Hikaruさんの語り口からは、そんな熱意・信念がひしひしと伝わってきました。
「音」で空間を彩るHikaruさんの出張演奏は、きっと忘れられないひとときをつくってくれるでしょう。

<Hikaruさんプロフィール>

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